口腔粘膜疾患
定期的な検診で早期発見
粘膜疾患は専門的知識と経験がないと、見逃されてしまうことがあります。粘膜疾患によっては口内炎と診断されるケースもあり、そのまま正しい治療を行わないと命に関わることもあります。定期的にご自身でお口の中をチェックすること、そして、かかりつけの歯科医院で定期検診を受けることで早期発見・早期治療を行うことが大切です。当院では通常の歯科検診の際から粘膜疾患がないか触診を交えながら検査を行い、悪性の疑いがある場合は専門機関へ速やかに紹介させていただきます。
- 口内炎
- お口の中の粘膜疾患で一番多いのが口内炎です。口内炎が出来た場合、歯科医院での検査・治療をお勧めしております。口内炎といっても様々な種類があり、ウイルス・ビタミン不足・ストレスなど原因もそれぞれ違います。口内炎だとご自身で判断し、市販薬で治療を試みる方もいらっしゃいますが、場合によっては悪性腫瘍などの重大な疾患の可能性も考えられます。お薬の処方やレーザーなど、口内炎の痛みを緩和する対応もしておりますので、お気軽にご相談ください。
- 良性腫瘍
- 良性腫瘍には線維腫、乳頭腫、脂肪腫、エプーリスなどがあります。必要に応じて切除手術を行います。
- 口腔がん(悪性腫瘍)
- 悪性腫瘍は命に関わる重大な疾患です。舌や歯肉、頬粘膜の他、口腔底や口蓋などにも見られます。
悪性腫瘍の疑いがある場合は、精密検査が行える専門機関へ速やかに紹介させていただきます。
- 白板症
- 舌や歯肉に白いまだら模様が見られる疾患です。白板症は「前がん病変」と言われ、がんの一歩手前の状態です。喫煙やアルコールなどが原因と考えられています。白板症は初期のがんの可能性があるため、精密検査が行える専門機関へ速やかに紹介させていただきます。
- 口腔扁平苔癬
- 頬や歯肉、舌などに生じる難治性の炎症性角化症です。口内炎だと間違われることもありますが、稀にがん化する場合もあります。原因はよく分かっていませんが、細菌やウイルス感染、ビタミン不足、アレルギーと言われています。歯科金属のアレルギーがある場合はお口の中の金属を取り除くなど、口腔内環境を改善する必要があります。
- 口腔カンジダ症
- 口腔内にカビが繁殖した状態です。原因となるカンジダ菌は元々、体の中に常在していますが、免疫力が低下した時やご高齢の方に多く見られます。粘膜の痛みや味覚異常などの症状がある他、放置することで歯周病の悪化、肺炎や口角炎の原因になる場合もあります。
抗真菌薬が有効ですが、確定診断のために専門機関での検査が必要となります。
- 地図状舌
- 舌に地図のようなまだら模様ができる疾患で、日によってその模様が変わるのが特徴です。自覚症状はほとんどありませんが、患者さまによっては痛みを訴える方もいらっしゃいます。原因は不明ですが、ビタミンBの不足やストレスが関与しているとも言われています。特に治療の必要はございません。
- 粘液嚢胞
- 唾液が通る管がつまることで、うまく排出されずに唾液がたまり水ぶくれができた状態です。誤って唇など口の中を噛んでしまったりしたことがきっかけとなってできます。一度できてしまうと、潰れたり再発したりを繰り返しやすいです。必要に応じて切除手術を行います。
親知らずの抜歯
親知らずはお口の中の一番奥にあり、歯ブラシも届きにくいため虫歯や歯肉の炎症が起こりやすいところです。ブラッシングでしっかり管理ができる場合は抜歯の必要はありませんが、痛みなど炎症症状が見られる場合や咬み合わせに影響が出てしまう場合などは抜歯することをお勧めします。なお、状態によっては抜歯処置を専門機関に依頼するため紹介させていただく場合もございます。
顎関節症
歯ぎしりや食いしばりの癖、咬み合わせが原因で耳の前にある顎関節にストレスがかかると顎関節症を引き起こします。顎関節症は咬み合わせの筋肉に炎症がおこるものから関節内にずれが生じるもの、骨の変形を伴うものまで様々です。治療はストレスの原因を除去することやお薬の処方、必要に応じてマウスピースの作成も行います。また口が開きにくい原因は、顎関節症以外にも化膿性の炎症や腫瘍の関与も考えられますので、早めの受診をお勧めします。
外傷
「転んで歯をぶつけた」、「歯が折れた」、「衝撃で歯が抜けた」、「唇や粘膜が傷付いた」というような場合、できるだけ早く処置を行うことが大切です。歯を強くぶつけた場合、次の点に注意しましょう。
- ●見た目に変化がなくても念のため受診してください。
- ●歯の破片があれば元に戻せる場合がありますので、できるだけ持ってきてください。
- ●衝撃により歯が丸ごと抜けてしまった場合は、洗わずそのままの状態で、牛乳に浸す、あるいは口の中に入れる(飲み込まないように注意してください)など乾かないようにして持ってきてください。
なお、顎の骨の骨折などを疑う場合は、適切な処置を行うため、大学病院や歯科口腔外科のある総合病院など相応しい医療機関へ紹介させていただきます。